医用生体イメージングに関する研究

Positron Emission Tomography (PET)やX線CTなどは、体外で収集したデータから人体内部の情報を画像化する技術として、診断における重要な位置を占めています。本研究室では、疾病の早期発見や高精度な画像診断を可能にすることを目的として、体内の構造や機能を画像として正確に収集する手法の開発を行っています。これら医用画像装置で対象とする物理量の体内分布画像(再構成像)は、画像再構成手法を用いて観測データから推定されます。従来の画像再構成手法は、観測系の様々な制約から、観測された情報を十分に活用できない場合がありました。本研究室では、観測系の特性を正確に記述して統計的な画像再構成をおこなう手法を開発し、様々な対象へ適用しています。
具体的なテーマとしては、PET装置の利用対象の1つとして挙げられる生体の機能情報を表す動態機能画像の推定があります。動態機能画像は、血漿中の放射能時間変化曲線(plasma Time Activity Curve)及び組織内放射能時間変化曲線(tissue Time Activity Curve: tTAC)を用いて推定を行うため、推定される機能画像の精度はtTACの精度に大きく依存することが知られています。我々は現在、tTACをより高速かつ高精度に推定する方法として、DRAMA(Dynamic Row Action Maximum-Likelihood Algorithm)再構成をベースとした4次元再構成手法の開発をおこなっています。図1は、本研究室で提案した手法を用いた推定結果の一例ですが、少ない反復回数で、精度のよい結果が得られていることが分かります。